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売れる服とはどんな服−1

売れる服とはどんな服なのかというテーマをシリーズにして書いていこうと思います。その記念すべき第一回目になります! 現在コロナ禍の中、アパレル業界は全体的に非常にまずい状態にあります。 多くのブランドが作り控えをしている中、コロナ前に比べて発注数が増えているブランドもあります。 私がよく知っているブランドさんを例に出して話をしてみます。

まず一つ目の例に上げるブランドさんですが、単純にネームバリューがあり、その上、 物作りをわかっているブランドさんです。 ここで大事なのは物作りにこだわっているではなく物作りをわかっているという点であります。 こだわりはとても大切なのですが理解のないこだわりは無駄に縫製工程を振り回してしまうことになります。 ですが理解の上でのこだわりは商品の縫製工程にも信頼を生みます。その結果商品の雰囲気は損なわれず、その商品のこだわりはお客様の憧れになり、人に話したくなります。 逆に理解のない上でのこだわりは真実味がなく不信感を与え、関心を持って頂けるのは難しくなります。 こだわりを持つならそのこだわりの本質を理解した方がいいということかと思います。 話を戻しまして、このブランドさんは元々コロナ前から顧客さんの信頼を獲得できる説得力のある物作りをしていたし、 業界内でも一目置かれているブランドさんであります。商品は上品によく作り込まれていて唯一無二のブランドであり、 売り上げが変わらないと言われても納得のブランドです。そこの商品を着用すれば胸を張って歩けるし、 値段の高かい商品ですが、商品を購入したお客様で高いのが損だと思う方はいないと思います。 損なく間違えのないお買い物ができるということなのでしょう。そんな信頼のある商品を求めるお客様をしっかり集客できている骨太のブランドさんです。

次の例に上げるブランドさんは最近関係が始まったばかりの若いブランドさんなのですが。 このご時世なのに調子が伸びて来ているとのことで縫い場の拡大を計画されていて、 他工場さんの紹介を経てウチへ声をかけていただいたというわけなのです。 商品作りに関しましてはこだわる部分はピンポイントであり、シンプルに高い品質を求めている、そんな印象のブランドでした。

こちらのブランドさんは卸しをメインに活動されているようです。 商品を理解して販売してくれるお店にしか卸してないとのことでした。まっすぐな正論です。 販売員が商品のことを深く理解できていないまま服を売ってしまうということは商品の信用も伝えないということになり、 信用のあるはずの商品がただの商品に成り下がってしまうわけです。 買う人も売る人も両方共に損をすることになります。その正論は小規模なブランドであれ、 ひとつひとつの商品に深く深く向き合わなければならず、体力も必要になってくるはずで、それはそれで心配になってしまいます。 ですが、それだけでは売れてる理由として納得までは出来なかったので、 後日そのブランドさんの卸先のセレクトショップのホームページを見てみました、そして驚きました。 そのホームページでは一つの商品に対してこれでもかとページを使い紹介しているのです。 その商品の生地のことだけでも細かく書いてあり、生地メーカーの名前まで出てきています。 縫製も細かく紹介していてなんと縫っている縫製工場の名前まで出てきていました。 工場名まで知っているセレクトショップの方がいるなんて驚きです。 商品の細部にスポットを当ててスペシャリティな部分をこれでもかとわかりやすくしています。 ここまでの熱量で紹介することが出来るなんて信じられませんでした。 そのブランドさんの卸し先への商品のストーリーの伝え方もきっと上手なのでしょう。 セレクトに個性を打ち出し、オリジナリティを伝える。そのブランドとセレクトショップの商品のクオリティに対する本気さを感じました。

自社のブランドの商品を自社の販売員がひたすら褒めていても真実味がかけてしまいますが、 セレクトショップであれば自社の商品ではなくセレクトしてきている商品なのですから 商品のどこが良くてセレクトしてきたのかを紹介することに真実味は自社の販売員よりはあるのかと思います。 そのページを読んでみると紹介というよりは口コミに近いように思いました。 SNSなどでみんなに見せたくてアップする、そんな印象なのです。 誰でもいいものは人に見せたくて、その憧れは誰かに話したくなります。 ネットで買い物をする時、もちろん商品説明を読みますが、もっと気になるのは口コミです。 買った人がどんなことを思ったのか、商品説明通りだったのか、思っていたのと違っていたのか、 質感は?サイズ感は?などなど実際に手に取った人の感想はこれから買う人にとっては最重要な部分です。 もしも思っていたのと違う場合は損をすることになります。それは誰しもが避けたいことです。 このように商品のお得感よりも損ではない感が大事なのかもしれません。間違いのない買い物をお客様は望まれているのです。 その口コミのような商品の紹介は売る側の目線で話をしてはおらず、買う側の目線なのです。 お客様はそれを見て、自分達側の意見だから信用が出来ると判断してお買い上げ頂けるということになっているのかもしれません。 自社の人間が自社の商品を褒めても信じないが他社が褒めたのは信じられる。 その結果ストーリーのある商品をお求めになりたいと思っているお客様をしっかり集客できていることかと思います。 メーカーが伝える商品のストーリーは時に押し付けのようになってしまい、人間の温度を直に伝えるのは簡単ではありません。 口コミとは買う側の人間がやります。それはこちら側の意見だから人間の温度が発生するのだろうと思います。

一つ目に例に出したブランドと二つ目に例に出したブランドは規模はまったく違いますが、共通点はあります。 お客様に商品を購入しても損をしていないと判断させることが出来ているかどうかと間違いのない商品を作っているということです。 お得感よりも損をしないとか間違いないなどが大切なのかと思います。もちろんお値段も関係ありますが、 そのお値段に納得していただけるように商品のことを伝える、その信頼を気付くのは並大抵のことでは無いでしょう。 同じような商品が他で安く売ってるかもと思われてはいけません。その商品は唯一無二なのですから。 仮に似たものがあったとしても同じような商品ではないということを説明しなければなりません。 高く買わせてしまうことで損だと思われてはいけません。それが勘違いだとしても損をさせてしまったら、 お客様の記憶から消えることはありません。あそこの店で買ったら損をしたという記憶です。 いい商品なら売れるということなら何の苦労もいらないのでしょう。 いい商品でも売れないからアパレルはどこも大変な思いをしているのが今の現状であります。 昨今では良い商品をどのように届ければ理解していただけるのかはとても大事なことなのかもしれません。 売れているということは商品が認められているということになります。 認められる為には、商品に対する信用がなければなりません。 その上一般的な服の何倍もの値段のする商品をお買い上げ頂く為には、並の信用では足りません 高い商品になれば興味を持つ人の数は限られてきます。 信用のある商品を、その信用を求めるお客様が集まる場所で扱えることが理想です。 服を作って売るのならばその服を求めるお客様とその求めるお客様が集まる場所も同時にイメージするのが大切なのかもしれません。