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絶対センチメートルと黄金

世の中には絶対音感という特別な力を持っている人がいます。 聞いただけでその音程を理解できる能力です。 では絶対センチメートルとはなんなのか、それは絶対音感のセンチメートル版になります。 見ただけで瞬時に何センチメートルか分かる能力です。 この能力は度重なる経験の中から生まれます。 その経験とはひたすら縫うことでもなく、ひたすらパターンを引くことでもないです。 能力というよりは想像力や計算力と言った方がいいのかもしれません。 それではその能力を呼び起こす為のトリガーを説明します。

私のような服を作る人間にとって馴染みのあるセンチは1cです。 それはもう縫い代巾が1cの場合が多いからです。縫い代幅として次に多いのは1.2c、1.5c、2c、ぐらいでしょうか。 このように見慣れているセンチは見れば直ぐにわかると思います。 これらを基本とし色々な物の力を借りながら更に長いセンチをイメージしてみましょう。 2.5cは一般的な30c方眼定規の巾です。3cは1cセンチを3つです。 ちなみに私の親指の第一関節の幅が2.5cです。などと見慣れている物で想像し計算していくのです。 目の前のセンチメートルを具現化するのです。それが絶対センチメートルという能力に辿り着く道なのです。

センチの想像の仕方は足し算だったり引き算だったりします。 次はもっと長いセンチを想像してみましょう。それでは10cです。 10cは50cの方眼定規を2個並べたら巾が10cです。あとは板巻きの穴かがり糸の板も巾5cなので並べると10cです。 ミシン糸のキングの#50も#60も高さが10cです。 次は15cです。15cは竹尺から5cを引くイメージです。ちなみにモリトの打ち具の入ってる黒い箱は幅が5cです。 次は20cを想像します。20cは竹尺、これで充分かと思います。ちなみに竹尺の幅は1.3cです。 このように見慣れている物の長さを理解し体感しておくことでセンチをイメージ出来るようになり、絶対センチメートルは具現化できるのです。 長さを理解するということは長さを知ることです。そして体感するとは長さに疑問を持ちその長さを知るという行為のことです。 まずは、今見ているそのスマホの高さと幅を考えてみてもいいです。毎日1番見ているのは自分のスマホです。 (絶対1番とは言い切れませんが…。)見慣れている自分のスマホ、このサイズを理解しておきましょう。 スマホのサイズは定規よりも物差しになります。そして次は手です。 手の平の幅(指の付け根)だったり、中指や人差し指の長さなども良い物差しになります。 ちなみに私は中指の長さと手の平(指の付け根)の長さは8.5cで共通です。 なので右手の中指を左手の手の平に乗せると丁度になります。 手のサイズも絶対センチメートルを身につけるためには重要なツールとなります。 例えば電車で吊革を持ちます。手の平を通して丁度であれば手の平プラス吊革の太さが吊革の直径になります。 これで唐突に吊革の大きさを聞かれてもかなり近い数字を想像することができるようになります。 吊革のわっかの太さは大体1.3とか1.5とかでしょうか、私は通勤で小田急線を使いますが、私の手は小田急線の吊革に通すと幅が丁度なので輪っかの太さ1.5cに手の幅8.5cをプラスして吊革の直径は11.5cぐらいでしょうか。 このように実際に計らなくてもかなり近いセンチメートルを具現化し知ることが出来るようになるのです。 仕事から帰る道すがら目に入る物の長さを想像して実際に確かめていくことで、この能力をより現実的なものに出来ます。 駅に貼ってあるポスターや電車の中吊り広告の寸法だったり、手持ちの物では名刺やクレジットカード、タバコの箱などなど、身近なものから寸法を想像して見極めていきましょう。 コピー用紙の各サイズなどもいいと思います。段々と何センチぐらいだなとイメージ出来るようになってきます。 気づくと目に入る物が何センチくらいかと言い当てられるようになります。 これが絶対センチメートルなのです。

この訓練を日常的に続けていくとあることに気づく時が来ます。

ここからが今回の話の本題といえば本題です。 それは寸法の比率です。色々な物の寸法を理解すると長さは違くても縦横の比率、つまりバランスが似ていることに気付きます。 名刺やクレジットカードだったりタバコの箱などは縦横の比率がおおよそで1:1.6になります。 それは誰しもが一度は耳にした事があるかと思いますが、黄金比というものです。 身の回りには黄金比で構成されているものが所々に存在しているのです。 あのアップルやグーグルのロゴもその中に黄金比が存在します。 紙のサイズに関しましては黄金比ではなく白銀比が採用されています。 白銀比とはおおよそですが1:1.4となります。日本の仏閣関係に多く採用されている比率です。 比率というのは縦横の比率だけでなく縦と縦の比率でも横と横の比率でも同じ考えかたが出来ます。 有名なミロのビーナスは足からウエストまでの長さを1とすると身長は1.6となります。 私はこの様な比率のメカニズムに専門的な知識があるわけではありませんのでこの辺りで話を止めておきますが黄金比と白銀比を検索すると色々なページで紹介されています。 とても面白いので興味を持った方は是非検索してみて下さい。

この黄金比と白銀比は服にも応用が効きます。 着丈や袖丈、ウエストの位置や切り替えの位置だったり、ポケットの位置や大きさ等、迷った場合はこの比率を参考にしてみても面白いかと思います。 使いやすさ着やすさだけでなく比率によるバランスもまた一興で、比率からの計算が使いやすく着やすさを生み出すこともあります。 身の回りの物の寸法を計り比率を見てみるのも面白いかと思います。 もしかしたらあなたのお気に入りのトートバッグが黄金比かもしれません。 隠れている黄金と白銀を探索するのはアドベンチャー気分でございます。 最後まで読んでくれたあなたは明日からトレジャーハンターなのです!