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ミシンでの2本取りステッチ

初めに

機械には目的となる使い方というものがありますが本来の使い方にとらわれなければその可能性を広げることが出来ます。 可能性を広げることが出来るということが一度でも体感出来ればこれから先は常識にとらわれないですみます。

上糸を2本通す

ミシンの上糸に2本の糸を通します。
通し方は1本の時と一緒で通常の通し方で構いません。

針穴に2本の糸を通しますが、案外普通に通ります。 今回は#7で細めの針を使いました。 太い針に比べ穴も小さいですが充分に通りますので安心してください。 通りますから。 ミシンに付いていた針をそのまま使用しただけなので#7の針を使用したのは特に意味はありません。 どうせなら#9や#11くらいの方が安心かもしれません。 それぐらいの針の方が針穴も大きいので通しやすいかと思います。 手縫いで2本取りというのは当たり前ですがミシンでも同様に当たり前に出来ます。

2本取りで縫う

それでは縫ってみましょう。 2本あるので最初は絡みやすいです。しっかりと糸は押さえの向こう側へ引いて縫い始めましょう。

このように赤と青の出方はランダムになります。

< 表から >

ステッチの表からの画像

< 裏から >

ステッチの裏からの画像

表は赤と青で2本、下糸は生成りで一本です。 トリコロールにしてみました。

随分前になりますが、オーダーのお仕事で他にはない仕様を、と依頼された時にこの仕様で作ったことがあります。 流石にその時は糸の色は揃えました。 その商品の裾は三つ折りだったのですが、裾の三つ折りは私の場合裏から見てかけますので裾では肌側が2本取りのステッチになります。 デニムの裾上げで肌側をチェーンステッチにするようなイメージになり、裏側にこだわる粋な感じが出ました。

比べてみる

せっかくなのでステッチを見比べてみましょう。

< ステッチ3種 >

3種類のステッチ

左#30
中#60の2本取り
右#60

全て#7の針を使用してステッチしました。 このように2本取りステッチには#30のステッチにはない雰囲気があり、 華奢で繊細な存在感があります。糸調子も#30の時程強くしなくても調子は整います。 針番手も#7や#9でも充分に縫うことが出来ます。

終わりに

このやり方では表側を必ず表にして縫わなければ2本取りステッチが表に出ません。 改めて自分がどちら側を見て縫っているかが再認識出来るかと思います。 上でも話しましたが、裾などであれば肌側を2本取りステッチで楽しむことができますが、 折伏せ縫いなどはどちらを見て縫うか好みが分かれるところかと思います。

珍しいことをやりたい人にはオススメです。 ただし、糸の減りは2倍になり、縫いながらボビンに糸を巻けなくなります。 2本取りミシンのステッチは比べて見ればちゃんとわかりますが、 説明しなければただの太番手ステッチと勘違いされやすいのでしっかりと面白味を伝えるようにしましょう。