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落としパイピングの簡単な方法

初めに

縫い代にパイピングをすることは当たり前に見かける仕様ですが、 そのパイピングにステッチを乗せないで落としミシンでバイヤス布を止める仕様。その名は落としパイピング。 その手間のかかる恐ろしい作業を、簡単にする方法です。

バイヤス布を仮止め

中縫いしてアイロン

落としミシン

仮止め解く

完成

裏側を止める

落としミシンとなるとバイヤス布の裏側になる方をアイロンで折っておく必要があります。 ですがパイピングに使うような生地は大概柔らかく動きやすいです。 もちろんバイヤスなので均一に折るのは大変です。 それを二つ折りのアタッチメントを使ってミシンで仮止めしてしまいましょうということです。 あくまで仮止めなのでミシン目は粗くして、針跡も残らないように細い針を使用します。 私はいつも#7を使用します。そしてミシンの際はバイヤス布巾が均一になるように一定の力とスピードでハンドリングしましょう。 これでアイロンよりも早く均一に折れた状態に出来ます。 この仮止めの時は途中の返し針は厳禁です。バイヤス布巾に極地的に影響してしまいます。

< 二つ折アタッチメント >

二つ折りアタッチメントでバイヤス押さえ

< 仮止めしたバイヤス布 >

仮止めしたバイアス布

中縫いしてアイロン

仮止めしたバイヤス布を生地端に中縫いします。 この時大事なのは縫い代巾を綺麗に揃えることよりも押さえの左側のバイヤス布の巾です。 左側にある部分で縫い代を巻くので巾が足りなくなると、落としミシンに届かなくなります。 縫い代巾は無視して押さえ左側の巾を重視です。

< 中縫い >

バイヤス布を中縫い

中縫いを終えたらアイロンします。アイロンは普通です。裁ち端を巻き込むようにアイロンします。 出来るだけ仮止めミシンの部分は触れないようにします。アイロンが強くかかると針跡が消えにくくなります。

< 片倒しアイロン >

片倒しアイロン

< 巻き込みアイロン >

巻き込みアイロン

落としミシン

仮止めミシンがしてあるまま落としミシンをします。 いまさらですが仮止めミシンはこの時落としミシンに重ならない位置を意識しましょう。 ミシンで仮止めされているので折がめくれることもありません。

< 落としミシン >

落としミシン

< 裏側 >

仮止めが残る裏側

普通の押さえでも構いませんが落としミシン専用の押さえもありますのでオススメです。 私が使っているのはミシン屋さんにつくって頂いたものになります。 下で押さえの画像と紹介をいたします。 こうゆう押さえにはデメリットもあります。この押さえは直線ではいいのですが、 カーブになると直線ほどの力は発揮出来ません。

完成

仮止めをほどいてアイロンで針跡を消しましょう。 先ほども言いましたが仮止めの箇所を強くアイロンしてしまうと針跡が固定されてしまい戻らないこともありますので、 ほどくまでは出来るだけアイロンが当たらないように意識しましょう。 絶対に当てないようには出来ないので、出来るだけです。

< 完成表から >

完成表から

< 完成裏から >

完成裏から

ステッチの無いパイピングは美しいです。

比べる

試しに縫い割にして、通常のパイピングと比べてみましょう。

< ステッチあり >

ステッチありのパイピング

< 落としパイピング >

落としパイピング

このようにステッチがないとカジュアル感が無くなり品が増します。

紹介

落としミシン用の押さえも今ではたくさん種類がありますのでお好みで選んで問題ありませんが、 微妙な形状の違いで驚くほど変わります。 今回使用した押さえの画像です。こちらはミシン屋さんの特注の押さえになります

< 押さえ正面 >

落としミシンの押さえ1

< 押さえ斜めから >

落としミシンの押さえ2

次は使用した二つ折りのアタッチメントです。こちらは特に調整していただいたものではなく既製の商品になります。

< 二つ折りアタッチメント >

落としミシンの押さえ1

今回紹介した落としミシン用の押さえは私が懇意にさせていただいているクボタ特殊ミシンさんで用意してもらったものです。 FISMAにも出店したりしています。こちらホームページへのリンクになります。 クボタ特殊ミシン商会さん。 よかったらご参考まで。

終わりに

今回は四つ折りで裏側を折り込む仕様の紹介でしたが、 三つ折りで裏側を流し込む方法でもパイピング布はバイヤスなのでほつれてはきません。 例えば裾や袖のヘムなどであれば止めてしまえばめくれるわけでは無いので裏側を折り込む手間をかける必要はないです。 三つ折りで流し込むだけで充分です。 これは不必要な箇所に過度な手間をかけないということではなく、 パイピング巾や落としミシンが綺麗にかかることを優先するべきだということです。

昨今では縫製仕様はデザインの一部になり始めています。 そして縫い代始末は今やオリジナリティを出す箇所として意識されています。 ですが、このような手間を掛ければスペシャルな商品になるわけでもないです。 本質を履き違えたこだわりは商品の設計にまとまりを失います。 良い商品には本質を捉えたパターンの設計とその設計を再現出来る縫製仕様の解釈が必要なのです。