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メローロックの種類

初めに

メローとはメローと一括りには出来ないほどバリエーションが有ります。 商品のデザインによってはメローを使いこなせるかどうかで商品の良し悪しが変わります。 メローは仕様により呼び方が違ったりします。 仕様だけでなく工場やメーカーによっても呼び方が違うこともあります。 例えば細メローだったり、細ロックだったり、巻ロックだったり、などなどバリエーションに合わせて呼び方が違います。

メローの呼び方での違い

メロー
縫い糸の組織上はロックと同じです。単純に細いロックというよりは、ほんの少し裁ち端を巻き込むイメージです。
細メロー
メローよりも細く華奢です。基本的には糸調子と押さえの爪とカッターの位置で調整します。 薄い生地でなければできない仕様です。厚い生地では巻き込めずにゴロついてしまいます。
細ロック
メローを巻き込まずに平になるようにかけます。名前の通りでロックを細くした見た目になります。 通常のロックよりも細く華奢なので品があります。

メローの巾や仕上がりというのは糸調子や機械の調整もとても大事ですが、 それよりも生地の影響を強く受けます。生地の厚みとメローをかける箇所の地の目に寄って表情は変わります。 厚い生地での細メローには限界があるということになります。

メローの糸

糸番手や糸の種類も用途に合わせて適した糸を使いましょう。 一般的なメローといえばフィラメント糸の#60や#80でいいかと思います。もっと華奢にしたければ#100といったところでしょうか。 スパン糸でもかけられますがフィラメント糸のほうが私はお勧めです。 スパン糸は摩擦の強い糸になりますので糸調子が極地的に崩れる時が稀にあります。 一般的な工業用ミシンではミシンを踏むと糸は上に向かって解かれていきます。 その解かれ方は上下しながら解かれます。 糸の巻きが下の方から解かれる時に糸の巻きの上辺りで瞬間的に少しこすれる現象が起こります。 この現象は糸の巻の太さに寄ってはおこらないこともありますが、そのこすれはもちろん糸調子にも影響します。 通常のロックではよく使われる糸でありますし、 ロックぐらいの振り幅があればパワーがあるので糸調子の崩れは、はっきりいって起こらないと言ってもいいです。ですからスパン糸でも充分ですし、コスパもいいです。 ですがメローでは違います。メローの表情を変える為には繊細な糸調子が必要になりますのでちょっとしたことが足枷になってしまいます。 そちらがフィラメント糸をお勧めする理由になります。 単純に華奢にかけたければ#80や#100を。通常の上がりでよければ#60を、そんなところでしょうか。 他にはウーリー糸のメローもありますがそちらはまたの機会にお話にします。

多種多様なメロー

それでは多種多様なメローを紹介します。振り巾や密度が分かりやすいように定規を添えて画像を取りました。 今回使用した生地は極薄のシルクでタテ地の目を通しています。 糸番手を#60と#100で試しています。

まずはメローの巾、つまり振り巾について見て見ましょう。

#60での色々な振り巾のメローロック

< #60細ロック >

#60細ろっく

< #60メロー >

#60メロー

< #60細メロー >

#60細メロー

< #60各メロー >

#60各メロー

#100での色々な振り巾のメローロック

< #100細ロック >

#100細ろっく

< #100メロー巻込無 >

#100メロー巻き込み無し

< #100メロー巻込有 >

#100メロー巻き込み有り

< #100細メロー >

#100細メロー

< #100各メロー >

#100各メロー

次は針目、密度について見て見ましょう。今回は#100でかけてあります。 条件は振り巾の時と一緒で極薄のシルクでタテ地を通してあります。

色々な針目(密度)のメローロック

< 極密 >

非常に細かい密度のメロー

< 普通 >

普通の密度のメロー

< 粗い >

#粗いメロー

< 特粗 >

とても粗いメロー

< 極粗 >

とてもとても粗いメロー

< 各メロー >

密度の違うメローの一覧

多種多様なメローを紹介しましたが、全てのメローは同じ糸調子ではありません。巾、密度によって微調整ですむものもあれば全く違うこともあります。 特に密度の所で紹介した極密は糸の間隔が細かすぎて通常の糸調子では糸が余って遊びすぎてしまいます。 他には細メローであれば下糸を強くしますし、細ロックでは上下ともにゆるくします。 カッターの位置や押さえの爪も微調整することになります。調整は多岐にわたりますが、慣れてしまえば恐れることはありません、 早く慣れてしまいましょう。

#60と#100を見比べよう

糸の太さで印象はかなり変わります。 画像ではわかりずらいに決まっていますが、並べて見比べて見ましょう。

< #60と#100の細ロック >

#60と#100の細ろっく

< #60と#100の細メロー >

#60と#100のメロー

#100の方がやはり華奢にかかります。糸の厚みが少ないので細巾にもしやすいです。 ですが生地が厚い場合は#100では心許無いですね。 どうしても華奢にしなければならない場合を除いては糸番手は生地の厚みに合わせるのが無難かと思います。

終わりに

このように、振り巾と密度を組み合わせると多用の種類があることになります。 ですが、メローの箇所がある商品の場合にここまで細かく仕様書に指示があることはなく縫製現場で生地やデザインに合わせてどのような仕上がりにするか判断することが多いです。 例えばメローの振り巾が一緒でも密度が変われば糸が余ることになりますので、糸調子は変わります。 その都度その都度、糸調子は合わせなければならないのです。 ここで糸調子を簡単に覚える方法をお話しします。糸を優しく引っ張ってその強さを覚えるのです。 どれくらいの張力かを覚えてしまえばいいのです。右に何回、回したかやメモリがいくつだったとかなど覚える必要はないのです。 糸調子の調節のバネの強さはまちまちです。 メモリではなく、実際の糸の張力を覚え、意識する事が糸調子を取る近道なのです。

ロックの針板と押さえの爪を変えることで通常のロックでメローをかけることができます。糸調子はもちろんそのままというわけにはいかず、 求めているメローの仕上がりに合わせる必要があります。 そちらのやり方も今度紹介したいと思います。

メローの仕上がりがその工場の技術力として評価されてしまうほどに昨今では重要視されていると言っても過言ではありません。

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