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ロックをメローに変える

初めに

ロックとメローの組織は一緒です。簡単に言うと振り巾が太巾か細巾かの違いになります。 針が落ちるすぐ横にある軸のような物にまたがるようにして糸を編みます、その時の太さで幅が決まります。 その巾を決めている部品を交換すればいいだけなのです。 職業用や家庭用のロックミシンであればスイッチ一つでメローとロックを切り替えられるものもあります。 もちろん工業用の仕上がりには到底及びませんが、ロックもメローもそれだけ簡単に切り替えられるということなのです。 細かいことを言えばカッターの位置や押さえの爪の位置に糸調子、 などなど微調整は必要ですが、それ全部含めても慣れてしまえば大丈夫、難しいことではありません。

針板

ロックミシンのどの部分が巾を決めているのかを確認して見ましょう。

< ロックの押さえを外した状態 >

ロックの押さえをずらした状態の画像

針が落ちる位置のすぐ横に尖っている部分、黄色の丸で囲った場所です。それが糸を編む巾を決めます。 尖っている部分は針板の一部になりますので、ロック巾を変えるには針板を丸ごと交換することになります。 メロー用とロック用の針板を外して見比べてみましょう

< 針板 >

ロックとメローの針板の画像

丸で囲ってある部分の尖っている所の巾がロックの幅になります。他にも違っている箇所はありますが、今回大事なのは巾に影響するこの部分になります。

実際にかけている状態で見てみましょう。

< メロー >

メローをかけている時の針板

< ロック >

ロックをかけている時の針板

針板の違いでロック巾が変わったのが見た目にわかるかと思います。 ここの尖っている部分の太さで糸を編む巾が変わるのが画像を見るとよくわかるかと思います。

押さえの爪

次は押さえの方も交換する箇所があります。 押さえの方は直接的に巾を変えているというよりは針板のフォローという感じです。

押さえのネジを緩め爪を外してみましょう。

< 押さえ >

押さえのネジを外す場所

< 分解後 >

押さえの分解後

メロー用とロック用の違いを見てみましょう。

< 爪 >

メローとロックの爪

< メローの爪 >

メローの爪

< ロックの爪 >

ロックの爪

爪の裏側を見てみるとロックは平になっていますがメローの方は内側が丸みがかっている突起があります。 パイピングのアタッチメントのラッパのような丸みです。 生地端をこの丸みにぶつけることによって生地を巻き込むのです。

縫っている時どのようになっているか見てみましょう

< メローの爪 >

メローの爪

< ロックの爪 >

ロックの爪

画像のように糸の編みを手助けしています。

この爪は左右に若干の調整が可能です。調整の際は針に当たっていないか必ず手で回して確認しましょう。 いきなり踏み込んでしまうと爪の位置が悪いと針が折れてしまいます。

メローの場合は爪を針から離すほど生地を巻き込む量が減ります。 丸みにぶつけることで生地を巻き込んでいますので、この丸みが近いほど生地の巻き込まれる量は増えることになります。 平にしたい時は針から爪を出来るだけ離して生地をこの丸みにぶつけずに沿うようにして奥に促しましょう。

針板の品番

針板の品番は裏側に書いてあります。針板を用意する際はロックミシンの品番とこちらの品番があればミシン屋さんもわかりやすいかと思います。

< 針板裏側 >

針板裏側の画像

終わりに

このように部品を変えることでとりあえずはメローに変えることができます。 糸調子はもちろん確認しなければなりませんが部品交換はさほど難しくありません、 強いてあげるならば押さえの爪が左右に調整ができるせいで、この位置でいいのかなと不安になるかもしれません。 爪が針に当たらない位置か確認することと、カッターに当たったり、擦れたりして変な音がしないかを確認できれば充分ですので、問題はありません。

メローというのは最近ではごく当たり前の仕様になりつつあります。 昔はウーリーのゴロゴロした、いかにも巻きロックというものが多かったですが、今では華奢にかけることが多いですし、 縫い代始末でもロックではなく細ロックというメローを利用した仕様などが多くなりました。 商品が上品であるために縫代始末までその責任を負うことになっているのです。 縫代をパイピングするのはよくありますが、そのパイピングにステッチを乗せない落としミシンでのパイピングなども平気であります。 ステッチの無いパイピングはカジュアル感が出ずに、とてもとても上品になります。 縫製の観点からみて縫い代はもう裏方ではなく表舞台に立っていると言えます。

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