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針と送り歯の関係

針が刺さる時、生地が止まる時

はじめに

ミシンには沢山の種類がありますが、 今回、紹介したいのは本縫いミシンと呼ばれる、 とても一般的なミシンについてです。

本縫いミシンは直線ミシンと呼ばれることもあります。 そんな名前で呼ばれていても、 生地の運びが悪ければ、もちろんステッチは直線ではなく蛇行します。 縫い手次第で縫い目は変わります。 ミシンとは針がただひたすらに上下運動を繰り返し、 それに合わせてボビンの釜が周り、 送り歯は一定方向に回転するだけの機械でしかありません。 ミシンの調子が悪いということは、そのメカニズムに不具合があるということです。

送り歯と針

送り歯のギザギザが生地を動かしてくれます。 その送り歯は常にミシンの上に出ているわけではありません。 送り歯が出ていないということは生地は送られずに進んでいない瞬間があるということになります。 その瞬間はいつかというと、針が刺さっている瞬間です。 針が刺さっている間は生地は固定されてしまうわけです。 当たり前と言えば当たり前なことです。

< 針が刺さっていない時の送り歯 >

針が刺さってない時の送り

< 針が刺さっている時の送り歯 >

針が刺さっている時の送り

針が刺さっている時に生地を動かそうとすると、 針、糸、生地に負荷がかかるということになります。 固定されているものを動かそうとするのだから こちらも当たり前と言えば当たり前のことになります。

長い直線で早く踏み込んだ場合に、 糸切れの経験をしたことがある方は少なくないと思います。 速さだけを優先して力任せにハンドリングしてしまうと 生地が固定されている時に負荷が強くかかり針が斜めに流れてしまったり、 生地に押されて糸の遊びが減り生地からの負荷が強くなります。 結果糸が切れてしまうこともあります。

だからと言って負荷がかからないように針が刺さる瞬間だけ生地を止めていたら、 いつまでたっても縫い終わりません。 むしろ縫い進み、生地が動き出してしまえば動き続けることの方が自然になり 針を刺して無理矢理止めてしまうことの方が負荷になるとも考えられます。 こうなると、生地を動かさないことも動かすことも負荷ということになってしまうのです。

送り歯の動き

それでは改めてミシンを踏んでみて下さい。 まずはできるだけゆっくり踏んでみましょう。 意識してみると確かに送り歯を感じることができるはずです。 意識を高めて、送り歯のガクンガクンという動きを感じてみて下さい。 徐々にスピードをあげてみましょう。 一度意識して理解してしまえば早く踏んでも送り歯の送りを感じることができるはずです。 ミシンはガーっと進んでいるのではなく、ガクン、ガクンと高速で繰り返して進んでいるのです。 生地のハンドリングする際は、そのガクンガクンを感じるようにしましょう。

最後に

送り歯の動きに合わせて生地を促してあげるのが理想です。 生地は動かすのではないのです、生地は促すのです。 生地に負荷をかけず。針や糸を自然な状態で動くようにすることが 緊張感の無い縫い目を作ることの基本になります。 どんなに糸調子を柔らかくしてもハンドリングが悪ければ縫い目は柔らかくなりません。 ミシン目の数だけ生地は固定されているのです。

量産品であれば、ハンドリングが慌ただしくなるのは当たり前です。 そのハードな条件をカバーするために色々な針や多様な押さえ、などなどが開発されたのです。 大いにそれらを活用し効率良く作業を行うべきです。 ゆっくり縫うことが大事だなんて言っているわけではなく、 早くてもゆっくりでも送り歯を意識してあげることこそが大事なことであります。

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