袋縫いの脇線に
縫い目利用の
ポケットを
作る1
初めに
縫い目を利用してポケットを作る。その名は縫い目利用ポケット。 その利用する縫い目が袋縫いだった場合の作り方の紹介です。 ロック割りや、ロック片倒しの縫い目利用ポケットに比べて簡易さが失われる仕様になります。
パターン
パターンは基本的にロック始末の時のポケットのパターンと同じです。
パターンを確認していただいても、特に変わり映えは無いかと思います。
縫う順番は簡単です。前見頃にポケットを作ったら脇線を縫うだけです。
手前袋布をつける
ポケット口上下端に切り込みを入れますので、 伸び止めか補強芯を貼るのをお勧めします。 硬くなるので貼りたくない場合や、透ける素材の場合は 切り込みを入れてからの作業の集中力をあげれば補強芯を貼らなくても問題ありません。
まずは前見頃に手前袋布を中縫いして切り込みを入れます。 切り込みは生地により変えます。 A、コの字で中縫して切り込みをギリギリまで入れる。 B、直線で中縫いして切り込みを慎重にいれる。 Aはほつれやすい生地で、Bはほつれにくい生地か薄い生地がおすすめです。
生地の透けや、厚み、ほつれやすさ、などなどの多方面から考えて、 どちらにするか判断しましょう。どちらを選んでも間違いではありません。
この手前ポケット口の縫い代は仕上がってしまえば、袋布で隠れてしまいます。 なので、ほつれなければ裁ちきりでも構いませんが、ここでは一応ロックをかけておきます。
アイロンで縫い返す
ポケット口の中縫いを入れた部分をアイロンで返します。 ポケット口上下の角がつれないように切り込みをしっかり入れて、エクボやキセなく返しましょう。
袋布作り
向こう袋布と手前袋布周囲を袋縫いします。 今回はこの時点で袋布周囲の袋縫いをしますが、 ポケット口上下の袋布の大きさがポケット口に対してキツキツでなければ 先に袋布周囲の袋縫をしておいてもOKです。
続けて、脇線縫代に袋布を仮止めしておきます。仕上がり後に仮止めをみせたくないので 袋縫いに入るように0.5c以内に仮止めを入れましょう。
脇線袋縫
ここまでで、前見頃にポケットが出来ている状態になりました。 ポケット口部分は前見頃の向こう袋布が脇線の縫い代になります、 脇線を上から下まで続けて袋縫いすることが出来ます。
前見頃にポケットが出来てしまえば脇線をただ袋縫いするだけなので、ここまでくるとこれ以上は画像も説明もいらないかと思います。 袋縫いの縫い目に縫い目利用ポケットの完成です。ただ、注意点はありますので後ほどそちらを説明します。
次回はこの手前ポケット口の縫い代も袋縫いしてスッキリさせる方法も紹介しますが、 そのやり方は、今回以上に縫い目利用ポケットの簡易性は果てしなく失われています。
注意点
縫い目利用ポケットと呼ばれているくらいなので、 ポケット口の存在を消して、縫い目に見せなければなりません。 その為に、注意しなければならないことがあります。 ポケット口の上下端をピンポイントで通る事です。 ずれてしまうと、切り込みが出てほつれてしまったり、 コの字に縫い返した時の横縫いが見えてしまいます。
意識しすぎると縫い込みすぎてポケット口が狭くなったり、 ポケット自体を縫いこんでしまうことになります。 かならずピンポイントでポケット口の上がり位置を狙って縫い通って下さい。
終わりに
ポケット周りが通常のロックではやはり既製服感が強く出てしまうのかなと思います。 裏から見た時の袋縫いのスッキリ感はロックの見た目とは違いますし、 品のある生地になるほどロック始末というものは、存在が浮いてしまうように思います。 袋縫いは2回縫って2回アイロンをするので作業工程は増えてしまいますから、 通常の仕様と同じ見積もりをしないように気をつけましょう。